アルベロベッロのイヌ

アルベロベッロのイヌ


 太陽がオレンジ色になり始める頃、
僕ら3人はアルベロベッロの町から離れて畑道を歩いていた。

この畑道にあるクルクル屋根の小屋に荷物を隠していたのだ。
そしてその日はもう別の町に行く気は起こらなかったのでそこで野宿する事になった。
もちろん持ち主には無断だったが。

 近くのスーパーから小屋の中に寝床を作るため
ダンボールや新聞紙をもらって来て小屋へと帰るとき、
一匹のわんこが自分らになついてきた。

人に分かってしまうとまずいので、そのわんこを小屋の中に入れるわけにはいかない。
かわいそうだが自分が囮になってそのわんこをまく事にした。
なぜが自分によくなついたからだ。

 うまい具合にほかの二人と別れた後、
そのわんこをつれてひたすら畑道を歩いていった。

そんな夕暮れ時の石垣の道とわんこがいい味を出していた。

そして広いオリーブ畑に着いたとき、僕はそのわんこを置いて駆け出した。
「置いてかないで」といわんばかりの顔でわんこが追いかけてきた。

胸がちょっと痛んだが石垣を飛び越えて走り何とかまく事が出来た。

 小屋に帰ると夕食の準備が出来ていた。

いくつか買ってきた食べ物と飲み物、
そして自分がそこら辺から採ってきたイチジクの実やブドウがその日の夕食だ。

自分は日本ではよく野宿していたが海外で野宿するのは初めてだった。
無論彼らも。不思議な縁から一晩3人で色々な話をした。

これからの事や、今の事、二十歳になったばかりの自分らには話す事が山ほどあった。



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